GOOD JIHANKI!日本の自販機文化を世界へ。

Vol.34
株式会社サン・ベンディング東北

誰もが一度は目にしたことのある、「with DRINK」マークが目印の自動販売機。赤と青で彩られたこのマークの「with」という言葉には、「ともに」ではじまる3つの意味が込められている。まず、地域の皆様とともに。次に、会社の仲間とともに。そして、業界とともに。この「with -ともに- 」をコーポレート・スローガンとして掲げつつ、日本が誇る自販機文化の発信を通し「うるおい創造カンパニー」として地域社会に「楽しい時間」を提供する会社が、株式会社サン・ベンディング東北である。同社の主な事業は自動販売機の設置・運営だが、近年では地域の飲食店や食品メーカーなどの企業とさまざまなコラボレーションし、キャンペーン企画やオリジナル商品販売を展開し、新たなマーケットを開拓している。今回の取材では、スローガン「with」の対象となる「地域」「会社の仲間」「業界」をキーワードに、それらが新たな事業や取り組みにどう反映されているのかを常務取締役・加藤 友人さんに伺った。

地域とともに −自販機を通じて地域経済活性化−

「自販機でもっと楽しい時間が提供できたら」と話す常務取締役の加藤さん。
3つの意味が込められた「with」から成り立つサン・ベンディング東北のスローガン。

サン・ベンディング東北が保有する自販機の台数は東北六県を中心に約33,000台を数える。運営するのはドリンクの自販機が主だが、その提供本数の2021年実績ではグループ全体として約1億5,200万本にも及ぶというから驚きだ。その圧倒的なシェア率は、サン・ベンディング東北の自販機が消費者にとっていかに身近で、あたりまえの存在になっているかを示している。
その認知度の高さを活かし、サン・ベンディング東北がいま力を入れて取り組んでいるのが「地元企業とのコラボ企画」だ。それまで常識とされてきた「自販機といえばドリンク」を覆し、全国ご当地カレーやおつまみなどのほか、仙台市内を中心に多くの店舗を展開する人気ラーメン店『だし廊-DASHIRO-』とのコラボレーションによって冷凍ラーメン自販機も運営している。
自販機で冷凍食品を販売するというこのアイデアは瞬く間に注目を浴び、コロナ禍で客足の減った飲食店にとって新たな活路を開く販売チャネルとなる。ラーメン以外に焼肉店ともコラボし、それまでお店でしか食べられなかった高品質の牛肉を冷凍して自販機で販売している。
このコラボ自販機戦略は、with DRINKのアンテナショップとして現在名取市愛島など県内5ヶ所で展開している。今後は観光スポットになれるようにしていきたいと考えている。
サン・ベンディング東北の自販機戦略は販売にとどまらず、商品を買うことで景品が当たるキャンペーンなども展開している。
「いろいろなカタチで戦略を展開していますが、絶対にブレてはいけないと思っているのが、自販機でもっと楽しい時間を提供したい、ということ。その楽しい時間の創造が、地域経済活性化にもつながるのだと思っています」という加藤さんの信念は固い。しかしながら、発想やアイデアは柔軟そのものだ。だからこそ、楽しさという価値をバリエーション豊かに創造できるのだろう。

『だし廊-DASHIRO-』とのコラボレーション自販機などは見ているだけで楽しい。
名取市愛島のwith DRINKのアンテナショップ。観光スポットとしてのポテンシャルもある。

会社の仲間とともに −みんなでつくる社内外コミュニケーション−

コミュニケーションの成果は会社のさまざまな実績にもつながっている。

サン・ベンディング東北が力を入れているもう一つの取り組みが、SNS広報だ。加藤さん自らが中心となって、TwitterやInstagramからの情報発信をこまめに行っているという。どんな内容の情報を発信しているのか?の問いに対し、加藤さんが笑顔で答えてくれる。
「SNSからは、あえて会社の一方的なPR情報を発信していません。なぜかというと、自販機の運営事業をやっていると直接的にお客様の声を聞く機会が少ないからです。SNSの双方向コミュニケーションができるというメリットを活用して、お客様の声や交流を大切にしていきたいと考えています」。
具体的には、まちの美味しいお店や環境イベントの情報などを発信しているとのこと。ときにはユーザーから「100円の自販機が安くて有難い」などといった感謝の意を表すコメントももらうそうだ。そのようなときは、すぐさま社内で共有し、「消費者や地域の役に立っている自分たちの仕事のやりがいを、みんなで確認し合っています」と加藤さんはいう。
なお、発信に対するユーザーからのコメントには、丁寧に返信するよう心掛けているそうだ。こういった点からも、サン・ベンディング東北のSNS戦略は自社のPRや販売促進といった利益重視型のマーケティング活動ではなく、自分たちらしいやり方で社内外を問わずコミュニケーションをとり、それによってエンゲージメントを高めることに目的を置いていることがわかる。効果もしっかり出ていることから、加藤さんはこの取り組みを続けていきたいと考えているようだ。

業界とともに −SDGsと地域への貢献−

最後の「with」は、「業界とともに」である。サン・ベンディング東北はSDGsへの貢献にも力を入れており、代表的なものとして自販機横にリサイクルボックスを設置する取り組みがある。ドリンクの瓶や缶、ペットボトルは90パーセント以上がリサイクル対象だ。加藤さんは、こういった資源のリサイクルは「清涼飲料業界を含めた私たち業者の責任」と考えている。資源循環の入り口であるリサイクルボックスの周知・啓発に、これからも取り組んでいくそうだ。
また、先にふれた異業種コラボ以外に、業界全体のイメージアップを図る意味での地域貢献活動も活発に行なっている。東日本大震災が発生した当時、食料や飲料を販売する小売スーパーやコンビニが軒並み機能停止状態になった。そこで地域の人々の支えになったのが、自販機の存在。地震後も動いた自販機はもちろん、多少の修理で再び稼働しそうなものも迅速に対応。とにかく、小売店の再開よりも先に、動く自販機を増やしていった。
また、日本の発達した自販機文化は海外から高い評価を受けているが、その理由の一つとして挙げられるのは「清潔さ」だという。サン・ベンディング東北でも、自販機をきめ細かに巡回し、「磨く」「清掃する」といったメンテナンスを重要なルーティン業務としている。
「お客様にとって、買いやすい環境をつくることが大切だと考えています」と加藤さん。シンプルな言葉からは、基本に徹することの重要性を教えられている気がしてならなかった。

素晴らしい日本の自販機文化を、もっと広めたい

バラエティ豊かな商品、清潔さ、安全性などあらゆる面で世界中から評価される日本の自販機。

最後に、加藤さんに今後の展望を伺った。
「今よりさらに地域に貢献する取り組みを展開していきたいと考えています。それは、自販機で扱う商品を広げることであり、また、自販機の台数を全国規模に拡大することでもあります。そして現在、重視しているSNSによるコミュニケーションも拡大して、日本の自販機文化を海外へ発信していきたいと思っています。Withというキーワードを軸に、自販機で楽しい時間をもっとたくさんの方に提供できるよう、チャレンジあるのみです」。
世界に誇る日本の自販機文化。バラエティ豊かな商品、清潔さ、安全性など、すべての面に置いて海外から高い評価を得ている、まさにGOOD JIHANKIなのである。私たち消費者にとって自販機はあたりまえに、そこら中に設置されているように見える。しかし、その一つ一つの自販機は人の努力によって守られ、維持されているものだった。日本のGOOD JIHANKIには、あたりまえをつくる努力が結実しているのである。

株式会社サン・ベンディング東北
住所:宮城県仙台市宮城野区福田町南2丁目3-50
TEL:022-254-4541

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