看護を学ぶ私たちだから同世代の悩みに寄り添いたい

Vol.74
仙台赤門短期大学 看護学科

仙台赤門短期大学では、地域貢献活動の一環として「赤門まちかど保健室」という取り組みを進めており、健康や介護に興味がある地域の人々の関心を集めているが、今回取材したのは、看護学科の学生が主体となって活動する「ぴあミーティング」。思春期には身体や心が大きく変化し、悩み事を抱える人も多い。そんな同世代の悩みや不安に寄り添おうと活動する看護学科の11人のメンバーの想いや活動を通しての気付きについて話を聞いた。

 

始まりは、地域貢献活動の一環の「赤門まちかど保健室」

仙台赤門短期大学の看護学科は、3年間で看護師を目指せる東北で唯一の短期大学。法人は日本初の東洋医学教育の認定校でもあるので、東洋医学の視点も取り入れるなど、患者一人ひとりに合った医療を提供するための人材の育成に力を入れている。また、保健サービスや在宅ケア、リハビリ[1.1]テーション、福祉・介護サービスなどを地域コミュニティ全体で行う「包括的看護」に役立つスキルの習得をめざし、多くの優秀な人材を現場に送り出している。

2018年から地域貢献活動の一環として、教員が主体となって「赤門まちかど保健室」を開設し、地域の住民のみなさんの医療や介護、健康についての相談会を定期的に行ってきた。ここでは、地域の健康課題を理解し、看護を学ぶ機会でもあり、地域の人たちと触れ合える貴重な体験の場であることからイベントなどには学生も積極的に参加している。

 

学生が主体の「ぴあミーティング」で伝えたいこととは?

2024年からは学生が主体となる新たな取り組みもスタートした。それが思春期から青年期の若者を対象にした「ぴあミーティング」だ。
「同世代でもヘルスケアに関する課題が多いと感じて、プレコンセプションやメンタルヘルスを含めた健康課題について、看護を学ぶ自分たちにもできることがあるのではないかと始まったのが『ぴあミーティング』です」と話すのは看護学科2年の松倉風雅さんだ。「プレコンセプション」とは、妊娠・出産を迎える前から正しい知識を身につけて、妊娠・出産や性と健康、命についてよく知ることで、自分自身や周囲の人々を大切にすることにつながり、自分の望む夢やライフプランの実現につながるというもので、国や自治体でもさまざまな支援策を進めている。現在は仙台市のこども若者局子ども家庭部子ども家庭保健課と協働で活動をしている。

「男性も性や健康の知識を持つべきだし、将来のパートナー理解のためにもなることなので多くの人に広めたいです」「ヘルスケアに関する性や健康への正しい知識を特に若者(思春期〜青年期)へ伝えていきたい。世の中で出回ってる健康への誤解が減少していくことを期待し活動したい。将来のパートナー理解のためにも男女関係なく多くの方々に広めていきたい」と話す看護学科2年松倉風雅さん。

 

しかし、実際には若者だけでなく、ほとんどの人が自分自身の身体について正しい知識を持っている人は少ない。「ぴあミーティング」には男性2人、女性9人の計11人の看護学科の学生が関わっているが、「入学して得た知識が9割。それまでほとんど知らなかった」「月経のたびに体調が悪かったが、授業の中で該当する症状が出てきたのをきっかけに病院に行って治療につながった」という声があがるように、違和感があってもほとんどの人がどうしていいのかわからず、相談や治療をせず放置してしまう。そこで11人のメンバーは、自分たちの体験談を踏まえ、「知らないと受診や対処が遅れる。正しい情報を伝えたい」「将来、助産師になって悩みを持つ人たちが寄り添える場づくりにつなげたい」などそれぞれの想いから「ぴあミーティング」に参加し、さまざまな取り組みを進めている。

 

気付きや次につながる「きっかけ」に

主な活動は年に数回開催されるオープンキャンパスや[2.1]「赤門祭」等の不定期のイベントであり、次回は3月14日(土)にイオンタウン仙台泉大沢店で開催する。授業や実習など忙しい日々を送る中、毎回メンバーで話し合い、テーマを決め、展示品や資料の準備を進める。もちろん当日の運営や来場者への対応も自分たちで行う。
これまで展示例は、生理用品や避妊具、栄養バランスに関する資料など。クイズを考えたり、子どもたち向けに絵本の読み聞かせなども行った。時には、「命の重み」を実感してもらうために、巨大骨盤の模型を使って、来場者に分娩体験をしてもらうこともあるのだとか。
こうした活動を続ける中で、いくつか印象に残るエピソードがある。
生理用品の展示を見ていた女子高校生に案内をしたところ「初めて知った。面白い」と興味を持ってくれ、自然に悩み事の話になった。そこで知っている情報や経験を伝えていくと相手の表情が和らぎ、喜んでもらえたという。その時の素直な気持ちをこんなふうに話してくれた。「これが私たちのやりたかったことなんだと感じて、嬉しかったです」。
同世代だけでなく、保護者が抱える子どもの悩みの相談に乗ったこともあれば、一人暮らしの方の食生活についてアドバイスしたこともある。一人ひとりの声に真摯に耳を傾け、学んだ知識や経験を伝えて一緒に考えてくれる、そんな存在に出会えたことは、悩みごとがある人にとって、次にアクションにつながる、大切なきっかけになったのではないだろうか。

 

みんなの「健やか」につなげるために

今後に向けての目下の課題は「男性が入りづらい」ということ。性に関するテーマが多いということもあり、解決策は簡単ではないが、柔軟な発想とアイデアを持つ11人のメンバーならきっと解決の糸口を見つけることだろう。
もう一つの課題である「もっと多くの人に知ってもらいたい」については、オープンキャンパスや赤門祭へ来る人を待っているだけでなく、「母校などに出張して情報発信しては?」というアイデアが出ている。
プレコンセプションケアは、「栄養、運動、適正体重、睡眠、アルコール・喫煙、ストレス、健康診断・予防接種、歯のケア、ライフプラン」と9つの項目がある。今後、彼らがどんな切り口で、どんなアイデアで、悩んでいる人たちにヒントをくれるのか期待はますます膨らむ。

看護学科1年関ちぐささん、2年今野桃佳さん、千葉結衣さん、伊藤玲奈さん、伊藤ひかるさん

 

 

学校法人赤門宏志学院 赤門短期大学 看護学科
仙台市青葉区荒巻字青葉6-41-1
看護学科Webサイト
https://sendai-akamon.ac.jp/course/nursing/

ぴあミーティングInstagram
https://www.instagram.com/peer_meeting/

 

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